エコロジーをなんか連想しない(CA・パーム・スプリングス近郊)
●2005年05月14日
行きの飛行機の隣人は、六本木のキャバラク嬢。
聞けば壮年Aなど近寄れぬかなりの高級店に勤務の模様。彼女は三姉妹の真ん中で、姉妹みんな昼間の仕事をやめて今はおいしい夜の仕事に付いてるそうな。毎年2回、お母さんと4人、女同士、親子で旅行をするのが楽しみだそうだ。旅費は毎回順番を決めて三姉妹が負担する事になっている。へぇ〜親孝行娘なんだ。
ところでお父さんは? お父さんは何とお固い自衛官。陸上ではなく海上だそうだ。海上は船の種類や派遣地によって特別手当の額が陸上よりいいらしい。それでもお父さんの3倍の稼ぎを得る私は、自由にお金が使えないお父さんが少しかわいそう、らしい。晩酌が入ったお父さんに国の防衛の質問を1すると10の答えが返ってくるという。そんな時、お父さんはお父さんでなくなり「我々は」に変貌するのだそうだ。
実はお母さんは離婚したいらしい。あんた達を育てる為に耐えて来たのだと娘達に言う。お母さんにはキャリアはなく、親子の食卓と洗濯に明け暮れる毎日が続きクタクタ。そんな母のような人生にはしたくない、と言う。娘の仕事に関して、お母さんは知っている。お父さんにはどうしても話せない。娘が夜働いている事を知ったら父親としてどう思うか、と聞かれた壮年Aの心理は微妙。うすうす知ってると思うけど。
壮年AのiPodをじっと見ている。パソコンを使えないので欲しいのだけど買えないと言う。使い古したCDプレーヤーからどこかのラップが漏れていた。着陸1時間前から入念な化粧に没頭。聞けば化粧は女の子の命だそうだ。完成形をチラっと拝見。なるほど少し奇麗になっている。初めてのアメリカとの事で、着陸寸前に彼女のビザカードを代筆させられた。お礼にと六本木のキャバラク店の名刺をもらう。少し安くするから来い。機会と金があったらね、とあまり浮かない顔を作る壮年A。行ってみっかな。

帰りの飛行機の隣人は、コスタリカ帰りの東北男児。
メキシコの南、コスタリカは中米のスイスと言われているらしい。比較的情勢が安定していて以外と観光には人気な国で、各国からのツアー客で混んでいたらしい。コスタリカのジャングルで2週間、大自然を観察しながらひたすらオタクっていたという。直行便がないのでLAでトランジット。
2週間分の生ヒゲを撫でながら機内食を日焼けしたたくましい右手でガンガン口に運ぶ。ビールもワインもスコッチもグビグビ流し込む。壮年Aが手に付けなかったパンやデザートも彼に食べてもらった。機内で上映される映画をヘッドフォンをかけて熱心に見入る。ライトを付けて人間行動学に関する本を読みふける。元気で寝ない。
背丈は平均的な日本人だけど、雰囲気はアメリカ南部の小さな会社に雇われているセキュリティサービスのよう。若い頃からスペイン語に入れ込み、スペイン語圏が愛しくてたまらないらしい。スペイン語を話す人間を見つけると誰かれとなく捕まえては話す癖があって、深夜にも歩き回りかなり危ないめにあったらしい。もちろんいい人ばかりではないと思うよ、なんて分かったような壮年A。
家族は? 小学校に通う息子一人と共稼ぎの奥さんとの三人暮らしだそうだ。中米のスイスといってもそこは第三諸国のコスタリカ。そんな名も知れぬ奥地で鳥や昆虫や葉や川だけを見ながらの二週間の計画には妻も子もついに同意しなかったとの事。デジタルで600枚近く撮ったという画像データの入る数枚のメモリーカードをパスポートと一緒に大事に身につけていた。
夏休みも冬休みも献上して一年に一回の海外を上司に懇願するらしい。しぶしぶ納得した上司と仕事仲間、妻子の顔が目に見えるようで何だか可笑しい。彼らに対してのお土産は定番のコスタリカ産のコヒー。よかったらコスタリカの匂いでも嗅いでみて下さいよ、という彼の超級な笑顔でリックの中を覗き込むと、ちゃんとした商用の販売パッケージになったものが10袋程重なっていた。リックの中はコスタリカの想い出で満タンだ。でも、豆かと思ったら何ともう挽いてある。各パッケージには真空パックなんて処理はなく、小さな穴が空いていてそこからコーヒーの匂いを故意に嗅がせるようになっている。しかもその穴からは少しのコーヒー粉が既に漏れていた。

壮年Aの目的はもちろん毎度のCA徘徊の走りだおしだ。いつものようにいつもの所でトヨタカローラを拝借。既に5万マイルのオドメーター見るとちょっと不安。一応エンジンルームをくまなく見てみる。いつものように貧弱なバッテリーのボルトに塩がふいているのが愛らしく見える。
今回はLAの東をいてこます計画。朝のLAXにトロトロ不時着して直ぐに10号線を東へ東へ。眠たくてくっつきそうな瞼をこらえて、昼過ぎにはパーム・スプリングスのメインストリートのスターバックスで怪しい中国人風にサングラスで偉そうにラテを飲んでいる壮年A。地元の若造達が隣の席で西武新宿駅前のマクドナルドと変わらずに大声でふざけていて夏は灼熱のはずの砂漠の街の静寂性がまるで無い所が少し意外で好き、なんて呟いてみたくなる。もちろん英語で言えないから日本語で。
今回もたった三日間の徘徊修行。一日平均200マイルで残り少ない人生を素敵ぽく浪費する。壮年にはちょっとキツい距離だけど幸せ。浅すぎるバスタブの後、怒濤のようにひれ伏すモーテルのベットが特に幸せ。
     
ここにもエコロジーあり。台風時は凄い発電量?(高知県・室戸岬)
●2005年05月25日
何の脈絡も目的も無いままにして、四国は徳島空港から室戸岬を目指す事になってしまった壮年Aの借りた今回の車はKのミラ。ミラはデザインがとっても好きだし、なんて呟きながら毎度の全開疾走。太平洋側の海岸線をたどる国道55号線はスキスキ状態で空を見上げれば天高き快晴。福岡辺りに機首を向ける国内線がなぞる飛行機雲が3本、奇麗に平行して青空をシャープに東から西へと横切っている。別に岬巡りが趣味でもないし、ましてや大きな鈴音の出る長い杖を持ってお遍路さんをしている訳でもない。いつものようにただひたすら前を見つめて運転しているだけだ。
徳島から室戸岬までは片道130Kmだから往復で260Km。ちょっと王道から外れて小道を走って遠回りして全行程は300Km。なんだかんだで8時間を要した。白浜という整備された典型的な地方の夏の海水浴場で一休み。その名もホワイト・ビーチ・ホテルというマンマ名の建物ありき。その1Fのレストランでは地元の町内会繋がり風のおばちゃん達が総勢20人、飲めや歌えの真っ最中。ワイングラス片手にフラフラしている50代や60代の女性も見える。明らかに普段着ではないだろうワンピースから露出する胸元辺の肌の面積が東京都内の典型的なパーティに比べて不自然に広いように見える。
浜辺に突き出たコンクリートの上に寝そべって少ない雲片を数えていたら、直下の浜に真っ赤のビキニの紐を緩めてうつ伏せになっていた若き女性2人が濃いサングラスの下からきっと痴漢を見るような目で壮年Aを警戒していた。
プルルンとなんとも頼りないけどこれはこれで好感がもてるエンジン始動音を聞きながらミラを国道に出すと、おばちゃんパーティに合流すべく男性陣を運ぶバスが到着した様子。この夏陽気にみなさん背広を着込んでいる。下半身も元気ハツラツそうで元高知県男児の生気がバスから漂よっている。きっともう何が起こっても構わないお歳だし、おそらく無くすものもないと思う。今宵、高知の浜辺で交わされる高齢の刹那の恋を少しだけ想像させてもらう。ビキニの女性の一人が遠くで立ったのが見えた。バスから降りた男性群の目線が一斉に浜辺に向かう。
ボーイング767-300ERの機影は今はどの空港でも見る事が出来る。これ世界中で今、すごっくポピュラーな双発の飛行機。でもこれにスカイマーク・エアラインの白基調のペイントに、あの面積を取らない青いロゴマークが加わると、もうたまらなくなる壮年A。羽田の展望デッキの片隅でじっと直視していたりするとエロスに近い知覚までがどこからともなく体を駆け巡る、ってちょっとおまえビョーキか? 昔から理由も分からず好感がもてるミラをオリックスレンタカーに返上して、こんな素敵な飛行物体に乗り込んでしかも星空の下、徳島空港を鳴門海峡に向かって勢い良く時速300Kmで飛び出すGだけでこのうえなく満足。スカイマーク・エアラインの機内で配られるキットカットも異常に楽しみだし。
     
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